あなたは、もしかして前科者かもしれない!? [ノンフィクション]
いきなり、過激な質問でご免なさい。しかし、あえて聞いてしまいましょう。「あなたの前科は、何犯ですか?」・・・・・こんなことを聞いてしまったのは、理由があります。高山俊吉「道交法の謎」(講談社α新書)に、恐るべき一文が記載されておりました。以下、少し長いですが転載しましょう。
「(交通違反には、駐車違反などの青キップと過剰速度オーバーなどの赤キップに別れていることを説明した上で)ところで、赤キップは反則金ではなく、刑罰の一つである罰金刑が科せられます。刑罰には5種類あって、死刑が一番重く、それから順に懲役、禁固、罰金、科料となります。罰金刑は当然、前科にカウントされます。前科は戸籍に載るわけでもないし、一般には公表されなませんが、刑を決める時の資料としては使われます。多くの人が、自分には前科などない、と信じているかもしれませんが、かつて一度でも赤キップによる処理をされたことのある人なら、その人は"前科者"ということになります・・・」
なんということでしょう。正式には「交通反則告知書」と呼ばれる青キップと違い、道路交通違反事件迅速処理のための共用方式」である赤キップは、立派な事件であり、道路交通法上は立派な犯罪として扱われていたというのです。しかしながら私たちの感覚としては、切符を切られても「なんてアンラッキーだったんだ」としか思わないのも事実でしょう。それは、道交法という法律が実態を無視して、ドライバーに過剰な規制を強い、不意打ちの取り締まり、裁判抜きの処分というまるで独裁国家のような仕組の中で運用されてきたからなのであります。
著者の高山氏は、交通専門の弁護士さん。長い間警察と法廷で戦ってきた経験を活かし、本書で「道交法のナゾ」について様々な見地から私たちに語りかけてくださいます。たとえば、「反則金は年間収入が800億円。その収入の使い道は?」「パーキングメーターは、法律上許されるのか?」「正しいと思うなら、反則金を払うな」等々。これまでなんとなく「仕方ないナー」と思っていたことも、実はよくよく考えてみると本当に警察による勝手な弾圧であったこが理解できることでしょう。国民の7500万人がドライバーとなっている現在。そして道路交通法の改正によって、ますます罰則が厳罰化され、さらには駐車違反取り締まりの民間委託などが実施されようとしている現在、私たちももっと真剣にこの法律についての知識を得る必要があると思いました。そうでないと、いつの間にか「前科5犯の大悪人」に記録上はされてしまうかもしれないからね。
http://www.japan-hotels.hippy.com/
by Youkimu (2006-01-13 00:28)