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楽しく絵画の勉強ができる研究書 [アート]

  視覚デザイン研究所編「うちの子はピカソ」(視覚デザイン研究所)という児童絵画の指導書が面白い。指導書とはいっても、あくまで一般のお母さん・お父さん向けにやさしく書かれたもので、「はじめてのお絵かき」「色から生まれるお絵かき」「観察力をつけるお絵かき」と三冊構成になっています。我が国の児童絵画の指導本というのは本当にひどいものばかりでありまして、ほとんどが子供に型どおりの描き方ノウハウを押しつけるという間違った指導がおこなわれている中、本書は親たちに子供の絵の世界の秘密についてわかりやすく解説してくれています。

 「お絵かきは子供の感受性や表現力を育てます」「お絵かきは子供の世界の扉です」「自分と周りの世界を確かめるため、お絵かきは始まる」「ワンパターンの絵ばかりでも問題ない。子供が納得いくまで描かせてあげましょう」「子供が感じて作り上げた独自のイメージ世界を大切に」・・・・・そうそう、その通り。まるで私の著作のようではありませんか(笑)。基本的に、子供の絵に「指導は必要ない」としている点もまったく私の考え通りであり、子供の絵画がいかに成長すると共に変化していくかを豊富な実例をもとに解説してくれる点も素晴らしい。これなら、「私、絵のことはとんとわからなくて、困っていたの」と嘆くお母さんたちも、よーく理解できることでしょう。

 さらにさらに本書では、ピカソやクレーといった抽象絵画の大家の作品と子供の絵を比較して、彼らがいかに子供の絵を目標にしていたか、またその芸術作品と子供の絵画の違いについても言及していて、ちょっとした美術鑑賞読本の役割も果たしてくれています。このシリーズさえあれば、子供の絵画教育に関しては他に本を買う必要はありません。そこいらの下手な絵画教室に通わせる必要もないでしょう。学校の美術教育なんて、無視してください。それくらい良くできている。そしてわかりやすい。たった一冊1,300円也×3冊セットで、親子ともども一生楽しむことができることは保証いたします。べつに視覚デザイン研究所とやらに知り合いがいるわけでも何でもございませんが、これは断然お買い得のお勧め本なのであります。アウトサイダーアートに興味がある美術関係者にとっても、価値ある一冊です。


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Youkimu

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by Youkimu (2006-01-13 01:26) 

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