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楽しく楽しく絵を描こう [アート]

 日本の子供たちの美術教育の程度の低さには、ほとほとあきれかえるものがあります。もともと美術を理解する土壌が親たちにないのだから仕方ないといえばそれまでですが、それにしてもひどい。美術教育を専門にするとかいうナントカ芸術教育研究所の著作に「楽しく楽しく絵を描こう」という本がありますが、はっきりいってウソばっかり書いてある。この本が日本中の保育園・幼稚園の先生方の絵画教育のバイブルとなっているらしいから、まったく情けない。

 例えばですよ。コスモスの描き方という項目です。「みんなでコスモスを用意し、花びらの枚数を数え(8枚)、確認します」「パレットに黄色を出し、花の心を点描で描きます。大きくなりすぎないように注意しましょう」「花びらを赤紫色で描きます。筆をロケットにし、筆先で中心から外に向けて4〜5本の線で一枚の花びらができるようにします」・・・・書き写しているのもバカらしくなってきた。要は、絵とは自然をありのままに写し取るという前近代的な美術観をいまだに子供たちに押しつけているだけなのです。

 谷川晃一「絵はだれでも描ける」(生活人新書)は、私と主張をまったく同じにする著者による新感覚のお絵かき入門書であります。「子供のころ、絵は誰もが楽しめるものだった。自由な発想、自由な想像力で純真な絵を描いていた。しかし大人になって巧さを意識しはじめたとたん、自由な想像力は失われ、絵は魅力を失った」と語る作者は、子供の絵からアート感覚を欠如させている美術教育の問題点にもスルドク迫ります。さらに本書の真骨頂とも言えるのは、美術活動などしたことがないような大人たちにも「だれにも絵は描ける」と語り、その実践事例を綴っているところでありましょう。

 パブロ・ピカソは、晩年に語っています。「私は父親のひどい美術教育で、子供のころ、子供らしい絵を描いたことがなかった。ようやく子供の絵のような自由で楽しい絵が描けるようになるために、何十年もかかってしまった・・・・」本書を読んで、多くの人が絵でも描いてみるかっ、という気分になることを期待します。絵に対する考え方が、読後は180度変わる。そんな革新的な内容の一冊ですよ。


絵はだれでも描ける


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Youkimu

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by Youkimu (2006-01-13 02:02) 

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